杉並中部教会

 不思議なことに、人間と異なり建物は、ひとたび町角から消えてしまうと、その面影を思い出すのがむずかしくなります。つい先日、公園に生まれ変わった東京フリーメゾジスト杉並中部教会も、その例外ではないでしょう。そこで、今回は、その在りし日の姿を掲載することにしました。

 併設の杉並中央幼稚園の卒園生をはじめ、教会を懐かしく思い出される地域の方も多いと思いますが、白い壁に赤い屋根、緑の十字架といういかにも教会らしい建築は、目印になる建物が少ない界隈にあって貴重なランド・マークでした。一筋隣りの道に住んでいた筆者が思い出すのは、日曜日の礼拝の讃美歌の歌声とヒマラヤ杉を飾るクリスマスのイルミネーションです。LEDの冷たい光が一般的になっていくなかで、タングステン・ランプの温かい色が懐かしさを誘いました。

 これは、いまから20数年前、我が家の庭に現れたタヌキ。その一家は我が家の隣が空き家で、その床下に住んでいたのですが、やがて空き家が取り壊されると、園児のいなくなった幼稚園の床下に移住したものと思われます。筆者の推測が正しければ、教会は地域の先住者たちの住居も提供委sていたことになります。

文化厚生部 松井和男