ようこそ荻窪へ(善福寺川はいったいどこから)

春日橋の上から善福寺川の川面を眺めると、きれいな水の流れが目に入ります。透き通ってサラサラと流れる清流を見ていると心が和み、懐かしいような穏やかな気持ちになります。

ところで、このきれいな水は一体どこから来るのかでしょうか、調べてみると面白いことがわかりました。なんと多摩川からの水が含まれているのです。

この水の由来にはおよそ3種類あります。第一は水源地である善福寺池からの流れです。善福寺池には豊かな水がたたえられていますが、この水は自然湧水ではなく、地下120mと27mから2基のポンプで組み上げられた地下水です。この地下水は水道水にも供給される大変おいしい水です。

第2の種類は、はるばる多摩川から流れて来た水です。多摩川の水は小作(おざく)浄水場を経て三多摩地区の家庭に供給されます。使用後は下水となって多摩川上流水再生センターに導かれ、「高度処理」されて一部が玉川上水に流され、さらにその一部は千川用水路を経て、美濃山橋近くで善福寺川に放流されます。

第3の種類は善福寺川流域の自然湧水です。以前は荻窪中学校付近に大きな湧水点があましたが、最近は枯れているようです。しかし、荻窪橋付近の川底を仔細に観察すると砂利の間から水がこんこんと湧き出している様子が見てとれます。

3種類の水のおよその割合は、地下水3、処理水2、湧水5ぐらいではないかと思いますが、専門家に聞いてみたいと思います。今度春日橋を通る時は流れる清流に向かって「ようこそはるばる荻窪まで来てくれましたね」と声をかけようと思います。 (新倉毅)